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水辺の倒木で子育て
栃木県日光市の戦場ケ原で22日朝、こけむした倒木の中で子育てするキセキレイを見つけた。湯川の対岸に横たわり、木道からよく見えた。ひなは4羽。親は約5分ごとに餌の昆虫を巣に運んだ。その度に大きく口を開くひなが愛らしい。自然のオブジェと野鳥のコラボに魅了された。朝の木漏れ日も印象的。まさに芸術作品を鑑賞するような絶景だった。
戦場ケ原は日光国立公園の標高約1400メートルに広がる高層湿原。広さ約400ヘクタール。2005年に国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録された。その名は山の神がここで戦いを繰り広げたという伝説に由来。
ここは野鳥の楽園としても知られる。キビタキやカッコウ、ウグイス、コガラ、ホオアカ、ノビタキ、アカゲラ、オオジシギなどにも出会った。まだ若葉の季節なので枝が葉っぱに広く覆われていなく、野鳥を見つけやすい。自然の中で、野鳥たちは生き生きと活動している。
キセキレイは夏の渓流などで繁殖するセキレイの仲間。夏羽では黄色が鮮やかで、雄はのどが黒い。気品がある清楚(せいそ)な鳥だ。長い尾を上下に動かす姿が印象的。「チチン、チチン」と鳴く。冬は市街地にも飛来する。全長20センチ。
湿原の植物も素晴らしい。赤沼から木道を行くとズミの林に入る。まだ花は濃いピンクのつぼみだが美しい。開花すると真っ白に。湿原にはワタスゲも咲き始めていた。初夏を代表する2つの白い花は6月上旬が見ごろという。新緑と白い花のコントラストが心を癒やしてくれる。
紙面より一部抜粋(2016年5月28日発行 東京中日スポーツ)
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