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きらめく緑 命の輝き
湾曲した長いくちばしは箸のよう。泥に差し込み、器用に獲物をものにする。千葉県習志野市の谷津(やつ)干潟で十五日、旅鳥のホウロクシギがヤマトオサガニを捕食した瞬間をとらえた。穏やかな日差しが水に反射し、海藻アオサのきらめく緑が干潟の春を象徴する。
シギ・チドリ類の春の渡りが、最盛期を迎えている。越冬地のオーストラリアや東南アジアから、シベリアなど繁殖地への長旅は一万キロを超える。途中に栄養補給するのが日本の湿地。渡り鳥にとって干潟はオアシスであり、命の源なのだ。
ホウロクシギは全長六二センチの大型のシギ類。環境省レッドリストの絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に指定され、遭遇する機会は少ない。谷津干潟では十日に確認され、二十日も見られた。
旅鳥の種類と数は、大型連休のピークに向けて日ごとに増えていく。観察は鳥が散らばる干潮時でなく、活動エリアが限られる潮の満ち引きの時がいい。特に干潮から満潮は、鳥たちが津田沼高校側に集結していく様子が圧巻だ。干、満潮の時刻は、東京湾より一時間半ほど遅れるので注意を。
干潟南側にある自然観察センターでは、指導員(レンジャー)が鳥の生態を親切に教えてくれる。ホウロクシギは満潮時、センター前で休息していて、ガラス越しに観察できた。干潮になって飛び立ったので、その先に向かうと、カニを捕まえた光景に出合った。
紙面より一部抜粋(2016年4月21日発行 東京新聞)
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