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桜と残雪の競演
東京は葉桜の季節となったが、もう一度、春らんまんの桜に会いたくなり、上州路を16日に訪れた。「上発知(かみほっち)のシダレザクラ」は、のどかな里山の小高い塚の上に立つ。後方には、雪が残る日本百名山の武尊山(ほたかやま)(標高2158メートル)。美しい一本桜は、風雪に耐え、凜(りん)として毎年咲き続けてきた。
群馬県沼田市の名木100選の1つで、周囲3・74メートル、樹高17メートル。毎春、数多くの写真愛好家がやってくる。この日も早朝から50人を超え、夕方までシャッターの音が途切れなかった。
木の根元にお地蔵様が立つ。赤い前掛けをした姿は印象的で写真のワンポイントに。しかし、今年は着飾っていなかった。
以前、桜を所有する農家の主人がお地蔵様を世話していた。亡くなった後、ある写真愛好家が引き継ぎ、赤い前掛けを着せ替えていたという。カメラマンたちは「今年はなぜ」と残念がっていた。
「今年は暖かい日が続き、18日が満開。昨年は22日で4日早い。満開から4、5日ほどは見ごろ」と市観光交流課。南に約3キロ下ると、樹齢500年以上の一本桜「発知のヒガンザクラ」が高台で満開に。こちらは群馬県の天然記念物。発知の2本の桜が、同時に満開を迎えるのは珍しいという。
NHK大河ドラマ「真田丸」で今、話題の沼田市。市内では真田丸展が開かれ、上州真田の里をPRする赤い旗が各所になびく。真田氏の時代に思いをはせ、花をめでるのも心地いい。
紙面より一部抜粋(2016/04/20発行 東京新聞、2016/04/22発行 東京中日スポーツ)
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