商品概要
湧き水のつらら
山奥に向かう舗装された林道に入って100メートルほど、道路の左側に見事な氷柱(つらら)が現れた。群馬県桐生市にある山あいの温泉宿「梨木(なしぎ)館」のすぐ近く。暖冬とはいえ、今シーズンも1月下旬からの冷え込みは厳しく、深沢川が下を流れる崖の間からの湧き水が凍結、高さ8メートル、幅30メートルほどの氷のカーテンが生まれた。
10数年前から話題で、「梨木の氷柱」と呼ばれてきたという。撮影は4日の立春。午前中は常に車数台が止まり、数人がのんびり氷の芸術を楽しんでいた。氷柱巡りをしている熟年夫婦は、「ここは観光地化されておらず、車を駐車した目の前で見られるのがいい」と素朴な自然美を称賛した。
関東地方では埼玉県秩父市の三十槌(みそつち)と、小鹿野町の尾ノ内渓谷の氷柱が人気が高い。前者は、荒川河川敷沿いの崖に岩清水が形成した氷のシャンデリア。後者は、地元の人々が斜面に水を吹きかけて作った人工の氷柱で、つり橋からの眺めが素晴らしい。いずれも、ライトアップされると幻想的だ。
栃木県の足尾の山から渡良瀬遊水地へ流れる渡良瀬川の自然を撮影して25年になる。通い慣れた道の途中にある梨木の氷柱は、最近知ったばかりだ。梨木館のフロント担当者は「昨年は1月から3月上旬まで氷柱が見られた。この冬も…」と、誘客の柱となるよう期待していた。
紙面より一部抜粋(2016年2月12日発行 東京中日スポーツ)
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