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申年もいい湯だね〜
今年の干支(えと)は申(さる)。ニホンザルが温泉に入ることで世界的に有名な長野県山ノ内町の地獄谷野猿公苑を訪れた。小雪が舞う氷点下の中、露天風呂につかるサルの群れ。子ザルを抱えた母ザルやグルーミングしながらのサルも。湯の温度は約40度。気持ち良さそうな姿に、心癒やされる絶景だった。
同公苑は1964年、野生のニホンザルを自然に近い状態で観察できる施設としてスタート。そのころ、近くの旅館の露天風呂に子ザルが遊びに訪れ、徐々に体を沈めたのが温泉に入る始まりとされる。同苑社長の萩原敏夫さんは「現在は約160匹に。温泉に入るのは冬だけで、多くは雌と子ども」と話す。
「スノーモンキー」として世界中で人気を誇る地獄谷のサル。訪れた日も入苑者の多くがアメリカやヨーロッパ、中国などの外国人。なぜ人気なのか、写真を撮っていた30代男性のスリランカ人に話を聞いた。来日して10年で群馬県に在住。「サルは北アメリカやヨーロッパには生息しない。そもそも熱帯に暮らす動物なので、雪が降る日本にいるのは珍しい」と。温泉に入る姿とともにニホンザル自体が珍しい動物なのだ。
同公苑には横湯川が流れ、対岸には地獄谷温泉の一軒宿「後楽館」。ここの露天風呂は、温泉の気持ち良さをサルが学んだ秘境の湯だ。近くに、国の天然記念物の間欠泉「渋の地獄谷噴泉」が吹き上がる。サルと人間の共生を目指した、ほっこりする空間に魅了される。
紙面より一部抜粋(2016年1月8日発行 東京中日スポーツ)
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