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ヨシ原を飛ぶ貴公子
国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に登録された渡良瀬遊水地。本州以南では最大のヨシ原(約1500ヘクタール)が広がる。この低層湿原は日本に残された貴重な自然遺産。同地に毎年、タカ科のハイイロチュウヒが越冬で飛来する。ラムサール湿地を飛ぶ姿は印象的で魅了される。
絶景ポイントは栃木県栃木市の谷中湖と渡良瀬カントリークラブの間のヨシ原。この付近をねぐらで使用する。夕方、ねぐらに入る前にヨシ原を低空で飛び回る。昼間は周辺の農耕地でネズミなどを捕食。
この雄姿の撮影に今、全国から大勢の野鳥愛好家が訪れている。今年は特に多く平日は50人、休日は100人を超える。この野鳥を25年間撮影するが、100万円を超す超望遠レンズが毎日、ずらりと並ぶ光景は珍しい。オリンピックのカメラ取材以上の景観だ。
ハイイロチュウヒの渡来は局地的で、特に雄の数は少ない。雄の姿は灰色と白、黒で美しい。そのため絶大な人気がある。遊水地に今、3カ所に分散した雄6羽が越冬する。日没前後にねぐら入りするが、午後3時台に戻ってくる個体も。今年は明るい時間に撮影できるために大勢の人が集まった。
日本の原風景が残るラムサール湿地で野鳥の撮影は魅力的だ。日本有数のワシタカ類の越冬地としても知られ、チュウヒやノスリ、オオタカなども見られる。タカが飛ぶ光景は一瞬だが、冬のヨシ原は至福の時間を与えてくれる。
紙面より一部抜粋(2015年12月25日発行 東京中日スポーツ)
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