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幸せを運ぶ鳥
国の特別天然記念物コウノトリが先月中旬、埼玉県加須市の水田に飛来した。足輪の番号から兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)で放鳥された個体の子とわかった。10数日間の滞在後、滋賀県米原市に移動。白黒の姿と色づく田のコントラストは日本の原風景を思わせる絶景だった。
「幸せを運ぶ鳥」といわれ人気が高い。近縁種シュバシコウが分布するヨーロッパでは「赤ちゃんを運んでくる」という伝説も。撮影中に、散歩する妊婦さんと家族に偶然出会った。彼女は大きなおなかをさすりながら見つめていた。「元気な赤ちゃんが生まれますね」と声をかけると満面の笑みが返ってきた。
日本初のコウノトリ放鳥が同公園で行われてから今月24日で10年を迎える。1971年に日本の野生が絶滅した後、人工繁殖から野生復帰を実現させた。現在、82羽が飛び回る。皆さんの自宅近くに飛来するかも。
千葉県野田市の飼育施設「こうのとりの里」で7月23日、関東初の放鳥が実施された。翔くん、未来ちゃん、愛ちゃんの3羽は今、それぞれ宮城県登米市、仙台市、茨城県坂東市の田んぼに移動して元気に暮らす。日中はカエルやドジョウ、昆虫などを食べ、夜は電柱や鉄塔で眠る。詳細は野田市ホームページの位置情報で確認できる。
同里では放鳥された3羽の親である2羽の飼育が見学できる。時々、くちばしを上に向け「カタカタカタ」と音を出すクラッタリングは印象深い。ガラス越しで距離も近い。展示内容も魅力的だ。公開時間は10時から12時と13時から15時。月曜日と年末年始は休館。入場無料。
紙面より一部抜粋(2015年9月11日発行 東京中日スポーツ)
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