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夜の夏富士に白い道
満天の星の下、光り輝く山小屋の明かりと山頂まで続く登山者のライトの列。夏の深夜から未明にかけて、暗黒の山肌に白い道が出現した。富士山は御来光を目的に、夜間に登る人が多い。
午前2時前後に、ライトは山頂から六合目(標高2390メートル)までの吉田口登山道に太い線で結ばれた。その時、須走口登山道=写真(左)=のライトが本八合目(標高3400メートル)で合流し、「人」文字を作ったのが印象的。ピーク時は下山道からも登る人のライトがジグザグ模様を描いた。六合目から山頂までは距離5・5キロで約5時間。夏の夜に富士山が見せる絶景に魅了される。
撮影ポイントは山梨県富士吉田市の県営林道滝沢線(通称滝沢林道)の標高1540メートル付近。吉田口登山道にある中ノ茶屋から車で林道に入ると6〜7キロ先で富士山の視界が良い場所に出る。道から10数メートル入ったところがビューポイント。林道はここから約5キロ先で通行止めになる。 この日、天の川が午前0時すぎ山頂の真上に現れた。「夏の大三角形」の星、こと座のベガ(織り姫星)、わし座のアルタイル(ひこ星)、はくちょう座のデネブも鮮やか。時々、流れ星も。幻想的な光景に魅了される。バードウオッチングに使う双眼鏡が星を見るのに役立った。
20年前、東京新聞で企画「富士異彩」を1年間連載した時、取材班の一員で毎週のように富士山を歩いた。滝沢林道も数多く訪れた。しかし、当時のビューポイントは環境が変わって撮影不可に。月日の流れを実感した。
紙面より一部抜粋(2015/08/13発行 東京新聞、2015/08/14発行 東京中日スポーツ)
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