商品概要
吹き上がる悠久の水しぶき
「わーすごい」「涼しい」と観光客から歓声が上がった。尾瀬からの冷たい雪解け水が片品川の渓谷をゴーゴーと流れて豪快に落下する。滝つぼに吸い込まれそうな不思議な思いに。その時、新緑の崖から山桜の花吹雪が薫風に舞った。鮮やかな絶景だ。一瞬の自然のドラマに魅了される。
群馬県沼田市利根町にある吹割(ふきわれ)の滝。高さ7メートル、幅30メートル。河床は約900万年前の火山噴火で発生した火砕流が固まった岩という。その後、浸食され多数の割れ目が生じた。「しぶきが滝つぼから吹き上がる様子からこの名が付いた」と観光案内板にあった。悠久のロマンをほうふつさせる。1936年「国の天然記念物及び名勝」に指定。
「滝に虹が出た時、祈ると願いがかなう」と地元の方に言われ、半日も待ち続けた。雪解け水で水量が豊富な5月はしぶきが多い。期待したが、虹は見ることができなかった。その代わりに出現した桜吹雪に祈りをささげた。
周辺には遊歩道が整備され、雄大な渓谷美を散策できる。1周は約2キロで約1時間。なかなかの絶景だ。
帰りに近くの日帰り温泉「しゃくなげの湯」に立ち寄った。施設は豪華で源泉100%掛け流し。料金は大人560円(入湯税込み)。露天風呂では青空と新緑にウグイスのさえずりが何度も聞こえて至福だった。
紙面より一部抜粋(2015年5月8日発行 東京中日スポーツ)
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