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小魚探しに熱中
群馬県館林市大島町の水田地帯にある仲伊谷田承水溝(なかいやだしょうすいこう)遊水池で七月二十九日朝、ピンクの大輪の花を咲かせたハスの茎に夏鳥ヨシゴイが止まっていた。餌の小魚を探して、数十秒間も周囲をじっと見渡している。盛夏の訪れを感じさせる光景に魅了された。
同遊水池は地域を洪水から守るために整備された。周囲九百メートルほどの四角い池にハスが咲き誇り、金網の上から見下ろすようにして観賞できる。ヨシゴイの他にカワセミやバン、カイツブリ、アオサギ、ダイサギ、オオヨシキリなどが見られた。
地元で野鳥を観察する小倉明さんは「一昨年に群生したヨシを刈り取ったことで、ハスの花が一面に広がった」と話す。昨年から野鳥ファンが集まるようになった。ハスとヨシゴイといえば新潟県の瓢湖(ひょうこ)が有名だが、同池も関東では貴重な観察スポットになっている。
ハスの花は日が昇ると咲き始め、昼ごろには閉じる。花びらが開きはじめてから四日で散ってしまう。見ごろは七月中旬から八月中旬。
ヨシゴイは夏鳥としてヨシ原や水田などに渡来するサギ科。日本で見られるサギの仲間では最小で、全長は三十六センチ。その名はヨシ原に生息することに由来する。開発による湿地の減少で生息数は減り、環境省レッドリストでは準絶滅危惧に指定。
同池のヨシゴイはこの夏、数カ所のガマの茂みに営巣した。七月には最初の一家族が巣立っていった。この写真のヨシゴイのひな四羽はガマの茂みで餌をもらっていた。
仏教で神聖な花とされるハス。見ているだけで心が清められるが、ここは関東有数の猛暑地域。観察の際は熱中症にご注意を。 (堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2019年8月8日発行 東京新聞)
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