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ハクレンのジャンプ
ラムサール条約登録湿地の渡良瀬遊水地でこの秋、大型の淡水魚ハクレンの集団ジャンプが数日間見られた。一度に数匹が飛び跳ねる「絶景」はほぼ一日中、絶え間なく続いた。24年間、同地の自然を撮影してきたが、初めて見る光景だった。場所は埼玉県加須市の第1排水門前。大雨の影響で水位が上がっていた。
観察していると、大ジャンプで勢い余ってコンクリート護岸に上がってしまうハクレンも。水に戻ろうと体をもだえるが動かない。その時、近くのハクレンが尾を水面に何度も打ち付けて、水を浴びせた。まるで大きなバケツで放水したかのよう。斜面に滑りが生じ、ハクレンは動きだして水に戻った。この光景は幾度も見られた。ハクレン同士が助け合う姿に感動した。
ハクレンは中国原産のコイ科。体長は約1メートル。1943年ごろ、食用として移入された。中国ではコクレン、ソウギョ、アオウオとともに四大家魚として養殖され、中華料理の食材に。日本では普及しなかった。分布は利根川水系など。
ハクレンを有名にしたのは埼玉県久喜市栗橋付近の利根川で毎年6、7月ごろに見られる集団ジャンプ。数十匹以上が水しぶきを上げて連続して跳びはねる。産卵のため生息する霞ケ浦と北浦から遡上(そじょう)し、大集団がここに集まる。今年は7月上旬の数日間、豪快な光景が繰り広げられた。ジャンプする理由は分かっていないが、川の水量が増えた時が多いという。渡良瀬遊水地から約8キロ下流。
紙面より一部抜粋(2015年10月9日発行 東京中日スポーツ)
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